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お役立ちコラム

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法律の改正や新設に関する情報について、制度の内容やデメリット、リスクなどを簡単にまとめてご紹介しています。

2025年4月14日:家族法改正

はじめに

令和6年5月に民法の中の家族法(結婚や離婚、子どもに関することなど)が大幅に改正されました。特に離婚分野では様々な議論があった「共同親権」についての法改正がついに成立しました。実際の施行日は令和8年5月末日となります。
本記事では、簡単ではありますがその改正について紹介します。
なお、本記事は弊所及び所属の各弁護士・事務員について、特に「共同親権」の導入についての賛成または反対の意見を表明するものではありません。

改正点1 ― 共同親権・・・はじめての制度導入

【今まで】離婚前:共同親権  離婚後:単独親権(原則)

【改正後】離婚前:共同親権 離婚後:単独親権または共同親権


  • そもそも、共同親権導入については積極派と消極派が双方の立場で世論が二分していました。この立場の調整を図りながら成立させたという経緯があります。
  • 今後、親権の取り合いが複雑化することが予想されるため、親権が定まらないことを理由に離婚できなくなることを防止する制度も作られました。親権者の指定を定める調停か審判が申し立てられていれば親権が決まっていなくても離婚可能になりました。
  • 親権をどうするかに当たっては、子の福祉は当然として、片方の親に対するDVの有無、家事事件手続法における手続き履践の有無、公正証書作成の有無、裁判外での交渉経緯等も考慮されます。

具体的には以下の通り定められます。

@共同親権と定めた場合、共同親権で行うもの
・日常行為以外のもの(日常行為の具体例については下記参照)
例)進学先の選考、転居、緊急ではない重大な医療行為、長期的な就労

A共同親権と定めた場合であっても、単独親権で行えるもの・行えるとき
・日常行為
例)食事、服装、習い事、アルバイト、一般的な医薬品の投与、一般的な医療行為・予防接種

・何らかの事情で一方が共同して親権行使ができない場合
例)長期旅行、行方不明、親権喪失

・急迫のとき
例)結果発表後の入学手続、DV・虐待からの避難、緊急医療行為

・家庭裁判所が特定の単独行為を定めたとき
 これは各個人が定めることができるため、調停等で争点になることが予想されます。

・監護者の指定があるときの監護の範囲での行為
仮に共同親権となっても単独(かつ包括的な)監護権があれば実質な単独親権のように振る舞うことは可能と思われます。

このように、共同親権になると、現状よりも親権の取り決めは複雑化・具体化する可能性が高いです。どのような結果になったとしても、お子様やご両親が納得する方法を注意しながら探っていく必要があります。

改正点2 ― 養育費・・・回収可能性の確保、保証

【改正のポイント】

養育費債権に先取特権が付与されました
★これにより債務名義がなくても担保権実行可能になりました。
「債務名義」とは、相手方から強制執行(問答無用で財産を回収する方法)をできるようにするための文書のことです。一般に債務名義の例としては、裁判所で作成された文書(判決書・和解書・調停調書など)や強制執行認諾約款付公正証書があります。
この文書がないと強制執行できません。

★ただし、債務名義の代わりに「その存在を証する文書」が必要になります。
例:公正証書ではない離婚協議書など

★回収できる範囲は「子の監護に関する費用として相当な額」となります。
定めた額全額とはならない場合もあります。例えば慰謝料の形で養育費に上乗せして払ってもらう場合金額が制限されることがあります。
離婚協議書を作成される際(特に公正証書にしない場合)はご注意ください。


「法定養育費」の創設
父母の取り決めがない場合でも、最低限の養育費を法定養育費として請求可能になりました。
金額は「最低限度の生活を維持に要する標準的な費用の額」となります。詳細は法務省令にて定めることとなっています。始期は離婚時(請求時ではない)、終期は成年(18歳)です。半端な日数は日割りとなります。
ただし、支払い義務者の収入が低く、上記法定養育費の金額をも支払えない場合は拒絶、免除が可能となっており、万全の方法ではありません。
そのため、離婚時には養育費を定めておくことを強く推奨します。

◎金額を整理すると、高い順に
全額(調停調書・判決書・強制執行認諾約款つき公正証書)≧「子の監護に関する費用として相当な額」(先取特権の存在を証する文書)>「最低限度の生活を維持に要する標準的な費用の額」(法定養育費、定めていない)
となります。


収入資料開示の強制化
裁判所が開示命令を発令可能に
その他に、裁判所から、養育費用の算定のために必要な収入資料について開示を求めることが可能になりました。

◎権利者にとっては、少しでも不安を解消するために、弊所弁護士が離婚協議・離婚調停・離婚裁判を経て、全額の請求・回収ができるようお手伝いいたします。
また、義務者にとっては、不当・過大な支払いとならないよう、弊所弁護士が離婚協議・離婚調停・離婚裁判に対応いたします。

改正点3 ― 面会交流

【改正のポイント】

試行的実施(試験的面会交流)が制度化されました
試験的面会交流とは、監護者の一方が面会交流の拒絶を主張するなど円滑な面会交流の実施に疑義がある場合、裁判所内の施設を用いてテスト的に面会交流を行うことをいいます。この試験的面会交流を行う際は家裁調査官や相手方当事者も同席することが多いです。


父母以外の者の面会交流申し立てが可能に
例:祖父母、叔父叔母など
ただし、父母の協議ができないような限定的な場面に限られます。

改正点4 ― 「2分の1ルール」に縛られない分与

【改正のポイント】

時効が離婚後2年から5年に延長されました


考慮要素が明文化されました
各当事者の寄与の程度、婚姻期間、生活水準、協力・扶助の状況、年齢、心身の状況、職業・収入の一切の事情
これらを検討しても優劣が不明の場合は折半とすることとなっています。


財産資料開示の強制化
裁判所が開示命令を発令可能に。
開示義務の不履行は過料のみですが、考慮要素で不利に扱うことも想定されていると思われます。

改正点5 ― その他

離婚の理由から「重い精神疾患」が削除されました

夫婦間契約取消権が削除されました


以上が家族法改正のおおまかなポイントになります。特に今後離婚を検討されている方、すでに離婚した方に関しては影響力の大きい法改正となります。弊所弁護士が丁寧に対応いたしますので、まずはご相談ください。

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